認知症の高齢者とのコミュニケーションは、介護職にとって大きな悩みになりがちです。
認知症になると、他者とのやり取りに支障を来すことが増えていきます。そして、介護職のコミュニケーションマニュアルが通用しないケースが続出するからです。
また、これまで親身になって接してきた高齢者が徐々に記憶をなくしていく姿を目の当たりにして精神的なショックを受けることも、悩みをより深刻なものにしています。
認知症を大きく分けると、アルツハイマー型、レビー型、脳血管型、前頭側頭型の4つに分類されます。
少なくとも現代の医学では、この4つのいずれかに診断された人が完治した事例はほとんど見当たらないのです。
ただし、認知症の進行を遅らせることは可能です。介護職は、認知症は元の状態に戻ることがない病気だと割り切って高齢者に接していくことが重要になります。
いつかは脳が正常に戻るだろうと期待していると認知症の高齢者と正面から向き合うことができなくなり、悩みが拡大する一方です。
認知症は治ることのない不可逆的な病気だという認識があれば、コミュニケーションが成立しなくなったり問題行動を起こされたとしても、悩むことは少なくなるでしょう。
実際にこの認識があったおかげで、認知症の症状に合わせた接し方を考えるようになり、仕事に前向きに取り組むことができた介護職は多くいます。
認知症の症状に振り回されて疲弊するのではなく、余裕を持って接することができるようになれば悩みは次第に解消され、高齢者との関係も改善していきます。